スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マイクロ水力は地域を救うか

 5月24,25の両日、岐阜県郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)で、小水力普及の全国シンポジウムを開催した。
 3月末に急遽開催が決まり、準備期間わずか2ヶ月。超優秀な若手スタッフのお陰でシンポは成功裏に終わった。最近若者の中に、迫り来る危機を明確に持続不能問題と捉え、行動を開始する人達が出てきた。これまでの下らん環境活動ではなく、長期的視野にたった的確な行動を目指す若者が世の中に出てきたことは喜びに耐えない。
 シンポには、当初予定していた参加人数(50人)を大きく上回る200名以上の方が来てくださった。会場が九頭竜川の最上流のどん詰まりの部落、石徹白だったにも拘らず。

 私は昨年度後半、若いスタッフと共に石徹白に3基のマイクロ水力発電機を実験的に設置した。マイクロ水力に関しては数年前から計画を立てていたが適地が見つからず、たどり着いたところが石徹白だった。石徹白とは、数年前、集落崩壊の危機を直感して設立された「NPO法人やすらぎの里いとしろ」の設立総会に呼ばれてからの付き合い。その後、理事長の石徹白勉さんにお会いする度に、石徹白でマイクロ水力やりましょう!と声をかけてきた。下手をすると狼少年になるとことだったが、凡そ5年がかりでやっと実現することが出来た。実現したらあっという間に全国シンポの会場となってしまった。現物の力はすごい。
 現在設置されている発電機は0.5~1Kwのごくごく小型のものだが、水という資源が地域にあったことを地域の方々が認識するのには効果があったと思う。既に100Kw級の発電機設置に向けて動き出しており、「電力完全自給の村」になる日も近い。石徹白の家庭で使用される電力は、約70Kw。従って、100Kwあれば何とか自給できる。村の真ん中を流れる農業用水だけで200Kwくらいは行けるかも知れない。当然売電も可能。

 こうした地域は、山間部には幾らでもある。データでは岐阜県は包蔵水力量No.1の県なのだそうだ。市町村合併後衰退が著しい飛騨の山間部、長良川、飛騨川上流部等、可能性のある地域は県内に幾らでもある。
 シンポ後まだ数日なのだが、昨日は岐阜市の某用水組合からの要請で現地視察に行った。さらに、大垣、中津川等々、「うちでも是非やりたい!」と言ってくれた行政関係の方々がシンポ会場でも沢山いた。
 既にオランダ、デンマークなどでは、農民が畑の真ん中で風力発電機設置の議論をしているという。風力は儲かるのである。日本のお百姓さんも、是非仕事の手を休め、傍らの農業用水路を眺めて欲しい。適地は幾らでもある。
 水は、日本の中山間地共通の資源である。もちろん、私の住む地域(岐阜県恵那市三郷町野井)のように昔から水が少なく小水力に不向きな地域もあろうが、先進国群の中では高温多雨な、しかも急峻な河川の多い日本は、明らかに水力発電に向いている。当然大型のダム式発電所は沢山あるが、まだまだ水を使い切ってはいない。地域の持続可能な資源を先ずは使い切ることを考えねばならない。

 水だけではなく、森林資源も悲しいほど使われていない。現在我が国の木材自給率は20%ほど。食糧自給率より低い。10年ほど前に起こったヒノキの暴落後は、人工林の荒廃は急速に進んでいる。私の試算では、石徹白の人工林を再生させ、年間3,000㎥ほどの木材が生産できれば、端材量は2,000㎥程度となる。製材・プレカット・乾燥まで行い、設計士・工務店と直に繋がれば、年商2億円ほどとなる。端材もここのところ木質バイオマス利用で取り合いになっている始末。高く売れる。マイクロ水力で出来た電気はこの製材所で使えば良い。森林の保全管理は水源の管理であり、水源の管理があってこそ水力発電の持続性が担保される。マイクロ水力と端材のエネルギー転換で発生するCO2削減量は年間4,000tとなり、下らん話だが国内排出権取引が始まれば1,000万円以上になる可能性もある。

 こうしたプラスの循環を考えること、これが”ほんまもん”の地域再生であると私は考えている。
 全国ブランドを目指す名産品づくりしか能がない地域おこしは、不毛とは言わないが持続可能性は低い。全国数千のすべての自治体が名産品を作ったら、消費者は覚えられまい。名産品が出来れば出来るほどブランドの価値は希薄化する。
 
 その昔、と言っても数十年前だが、石徹白には自前の水力発電所があった。そしてその傍らには製材所があり、水力を動力として使っていた。水力を、昼間は製材に、夜は各家庭1個の裸電球に使っていた。このシステムを少しだけ進化させれば、持続可能な地域になったのでる。
 どこにでもある資源で、地道に地域産業を興していく。これが持続可能な地域を作る、唯一とは言わないが、王道である。

 最盛期1,200人いた石徹白の人口は、今や270余人。石徹白再生には、もはや限られた時間しか残されていない。
スポンサーサイト

comment

Secret

プロフィール

チェゲバ

Author:チェゲバ
駒宮博男
1954年横浜生まれ。東京大学中退。幼少よりゲーデル等、数学基礎論について父に聞かされて育つ。学生時代は年に百二十日以上山中で過ごし、登山の海外遠征は十回以上。
高山研究所を経て、㈱ヘルス・プログラミング設立。仕事の傍ら、意味論、認識論について本格的に研究開始。その後、NPO活動を開始。現在、NPO法人地球の未来、地域再生機構理事長、ぎふNPOセンター理事長代行、地域の未来・志援センター副理事長その他。名城大学大学院経営学研究科客員教授。『地域をデザインする』(新評論)他。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。